すこし詳しい観測ガイド
ロケットで宇宙空間へ打ち上げて、地球のまわりを回る「人工衛星」。スペースシャトルや国際宇宙
ステーションもそのひとつです。
こうした人工衛星の中には、初心者でもかんたんに見つけられるものがいくつかあります。望遠鏡のような
観測機材は必要ありません。必要なのは人工衛星がいつ、どの方向に見えるかという情報(予報)と、
ちょっとした知識だけ。
夜空に浮かぶ宇宙船の光点を見つめながら、はるかな宇宙に想いをめぐらせてみるのはいかがでしょうか?
シャトルや宇宙ステーションってなに?
人間が宇宙空間にいつも滞在し、さまざまな科学実験などを行う拠点、それが国際宇宙ステーション(ISS)です。
アメリカ、ロシア、ヨーロッパ各国、そして日本を含め、国際協力で建設が進められる大型プロジェクトで、
人類が宇宙で活動する重要な舞台となっています。
国際宇宙ステーションは現在も建設が続けられているため、宇宙飛行士たちの生活物資、建設資材、
交代要員をたびたび輸送しなければなりません。アメリカのスペースシャトルや、ロシアのソユーズ宇宙船が
定期的に打ち上げられ、地上と宇宙の橋渡し役として活躍してくれています。
シャトルや宇宙ステーションが見えるってどういうこと?
国際宇宙ステーションは、地上から350〜400kmの高さを約90分の速さで地球をめぐる人工衛星で、
完成すると全長100mを越える超大型の宇宙構造物です。
こうした、人工衛星の一部は夕方や明け方の夜空に、ゆっくり動いていく光点として観測されることが
あります。特に、国際宇宙ステーションやスペースシャトルのような大型人工衛星は、一等星以上の明るさに
達することがあるので、初心者でも簡単に見つけることができます。
人工衛星がなぜ、夕方や明け方の空に見えるのか考えてみましょう。
人工衛星は地上から数百キロ上空を回っているため、地上では太陽が沈んでいるのに、宇宙空間の人工衛星
には太陽光線が当たっているという状況が、夕方と明け方の時間帯に生まれます。地上は太陽が沈んでいるので
空も薄暗く、太陽光線を受けた人工衛星が星のように光って見えるという構図です。
もちろん、人工衛星は自分で光を放ってはいないので、地球の影に入ってしまうと地上から観測する
ことができません。人工衛星に太陽光線が当たっていても、地上が昼間でまぶしい空の中では、人工衛星を
見つけることができません。人工衛星は“夕方と明け方に見えるチャンスがある”といわれるのは
このためです。
シャトルや宇宙ステーションの観測方法
人工衛星は,夜空をゆっくり動いていく星のような光の点として見えます。もちろん何百キロ,何千キロもかなたにあるので,よほど大きな望遠鏡を用いなければ大きさまで認識することはできません。ちなみに写真では
飛跡として線で記録されます。
夕方であれば、星が見え始める日没後40分後〜2時間ぐらいが、明るい人工衛星がよくみえる時間帯です。
(明け方は日出前2時間〜40分ぐらい)
国際宇宙ステーションに限らず人工衛星はたくさん地球を回っているため、
じっくり時間を掛けて夜空を見上げていれば、いろいろな人工衛星を見つけることができるでしょう。
国際宇宙ステーションは一等星をしのぐ明るさで輝くため、星がよく見えない街中でも見つけやすく、
望遠鏡のような機材も必要としないので、初心者やお子さんでも気軽に、かんたんに楽しむことができます。
準備もかんたん。
以下の内容をよく確認し、観測に挑戦してみてください。
<国際宇宙ステーションの見つけ方>
1.いつ、どの方向に見えるかという情報(予報)を入手
2.予報の時刻より余裕を持って早め(数分前)に観測場所で待機
3.予報を元に、国際宇宙ステーションが見えそうな方角や高さを確認
4.予報の時間が迫ってきたら、ゆっくり動く光の点をさがす
1994年7月21日 スペースシャトル・コロンビア 撮影/岡山県倉敷市
それと、国際宇宙ステーションや人工衛星に間違いやすいものとして、飛行機や飛行機雲があります。
飛行機は赤や青など色の付いた照明をともしていることが多いので、よく見れば区別が付きます。
一方、夕空の飛行機雲や、夕日を反射してきらりと輝く航空機の光も、人工衛星と間違え
られがちなのでご注意ください。
もっと見つけやすくなる観測場所の選び方
できるだけ、空の広い範囲を見渡せる、画像のような見晴らしのよい場所を選ぶようにするとよいでしょう。
国際宇宙ステーションが見える時間になってあわてないように,方角,見晴らしなど,事前の準備をしっかり
しておくことも大切です。
星がたくさん見えるようなきれいな夜空の元では、国際宇宙ステーションや人工衛星もさらに見つけやすく
なります。余裕がある方は、車などで街の明かりから離れて、郊外に遠征するのもオススメです。
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